変装し続けた先に/瀧石夢真
自分の顔が嫌いだった
自分の声が嫌いだった
自分の何もかもが嫌いだった
そんな僕は変わりたかった
こんな顔も声も捨てて
クラスの人気者の君に変わりたかった
ある日僕は変装する事に決めた
クラスの人気者の彼の顔に
クラスの人気者の彼の声に
そしたら誰もが見てくれる気がして
誰もが僕の事を好きになってくれる気がして
だけど誰も見てくれなかった
誰も好きになってくれなかった
何が違ったんだろう
何がいけなかったんだろう
何も分からないまま
また僕は変装する事に決めた
テレビでよく見るアイドルの顔に
テレビでよく見るアイドルの声に
そしたら誰もが笑
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)