NWSF剣豪ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『からつかぜ』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
いと」テオに嘲笑はれてなんとなくむつとしたじろさんであつたが、漫然と話せる相手がゐる、と云ふ事は、「してやつたり」なのだつた。
「テオどん、次回作は? 小説? 漫画原作?」
テオは面倒がつてはいけない、との自戒が胸に昇つてきたから、それに従つた。
「小説ス。杵塚くんとカンテラ兄貴との出遭ひを描いた、一種の青春ものスよ」
「ほお」…さう云へばテオ=タニケイである事は、世間に周知となつてしまつたのだつけ。じろさんはぼおつとそんな記憶が胸に去來するのを、感じてゐた。
もうカンテラ一味の天才猫・テオが書いた小説、として、タニケイの作は世の中で受け止められてゐる…世間の順應力とは、凄いものだな
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