わたしに語りかける夢の話し/洗貝新
ないのだから。草稿とは草の枕である。夜はしなやかに手折れ朝には光に導かれてあたまを撫でる。よくは眠れなかった。暖かな午後の陽射しだよう。
頭上の彼方からふりそそぐ陽の光ほど暖かなやさしさをわたしは知らない。
くり返される冬の夜は冷たい。つけっぱなしのテレビを消そう。身仕度を整えて身体を動かし温めて外出しなければならない。 言葉に頼るでもなく誰に頼るでもなく。 月は語りかける。一人で暮らしていくには忍耐だけが虚妄の友となる。
※と言いながらもやはり推敲はしてしまう。これは自身のためでもあり読み手のためでもある。影を背負う夜は寡黙だ。薄明かりに照らされる草花だけがやさしい。
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