翡翠/栗栖真理亜
 
ーを頼んでから
しばし揺蕩う
ぼんやり
ぼんやり

数分前までの混雑したバスのなかで
頭上から浴びせかけられる外国語を聴きながら
おしくらまんじゅうのように押し合いへし合いしていたのがまるで嘘のようだ
そしてバスに乗り込む前には大学構内の試験会場で
社会保険労務士試験の設問に頭を悩ませながら
鉛筆で解答を黒く塗りつぶしていたのだ

私は時間に追われ霞がかった自らの脳みそに対して叱咤激励しながら
なんとか全問は答えたのだが
もしやある一定の設問に対して
勘違いした答え方をしてしまったのではないかと思うと
自信はみるみるうちに萎んでゆきなんとも情けない気持ちとなって

[次のページ]
戻る   Point(3)