わたくしはそこよりうえにある/あらい
 
見てはいけないものと違和感に気づいているのだろう。「バレてしまうのだよ」と、ぼそぼそとしたささめきが漏れていた。案外わからないものだよと、思い直し、本当はなどとクセづけてみた。
 名付けてしまっても良かったのかもしれないけど、
 未だ黒でも白でもなかった。
 ゆうぐれどき、
 こぼれんばかりの薔薇が、漆喰の壁にコントラストを描きはじめていたという
 アカと橙と深い翠が天までの螺旋階段を、ときともに昇っては、その無声映画を、誰しも封じ込んでいる。口ずさんだメロディーはトモシラヌモノを、透明の日傘のもとで横顔だけを拝ませ、簡単にふぶいていきます。
 また光が輝こうとしていました
 そして、いきていました
2023 年 6 月 29 日
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