金木犀の秋に生き/ひだかたけし
 
きんもくせいの
ほんのりとかほり
やはらかしっかりと
秋のにほい染み込ませ

 漂い始める大気の最中
  ゆるやか解けながら
 四散していく意識の慄き

思考や感情や意志や感覚や
金黄の金輝の鮮やか渦巻き
貫く宙の遥か彼方の境域へ
飛び散り飛び去る私と云う、

魂の息呑む速度で金木犀の秋に生き







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