青い墓標/TAT
ぎると、また聞こえ、バッハがひかれているのがわかった。門まで行くと、しまっていた。その小路はほとんど人通りがなかったので、私は教会のそばの縁石にこしかけ、オーバーのえりを立てて耳をすました。大きくはないが、いいオルガンだった。意力と粘りのある独特な極度に個性的なーー祈りのように聞こえる表現を伴う、すばらしい演奏だった。その中でひいている人は、この音楽の中に一つの宝が秘められているのを知って、自分の生命を求めるようにこの宝を求め、そのためにオルガンをたたき努力しているのだ、というふうに、私には感じられた』
リリィ
『いや、ぼくは音楽を聞くのが好きです。もっともあな
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