永らえる夜の中で/ホロウ・シカエルボク
井や壁に張り付いていた、それからは悪夢のような騒ぎだった、失神した女たちやその他数名の泊り客の為に救急車が呼ばれ、それから警察に連絡が行った、若い刑事を引き連れて現れた年配の警部は、部屋を一瞥してああ、という顔をした、捜査は淡々と行われた、年老いた数人の関係者だけが、この事件の犯人が永久に捕まらないだろうことを理解していた、そして、数日中に、街外れの船着き場で死体が上がるだろうことも―「その財布拾っておけ」と、警部は若い刑事にそう指示した、刑事は財布を拾い、中に免許証が入っているのを確認した、そいつの顔を覚えておくんだぞ、と警部は白けた調子で言った、「近いうちに出会うだろうからな」。
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