ぼくはあたらしいか/狸亭
灰色の朝でも、
朱色の朝であっても、
六時の時報をラジオが伝え、
その日がたとえば八月十五日朝六時のニュースです、と
個性を消した声がする。
日々つみかさねられ、くりかえされてゆく
あたらしい時間に
ぼくはあたらしいか。
風のような権力をゆるすな。
義務が雲のようにわきおこることをおそれる。
たかまる海は管理せねばならぬとしても、
青空のような正義をしんじてはならない。
自由こそ竹槍根性を追放する唯一のものだから、
愛をしてさまざまな主義をこえしめよ。
詩は勲章にまさるのだし、
音楽は派閥をもたぬ。
色の数だけ祖国があるとしても、
その色の数よりも人の数のほう
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