フリージア/蝶番 灯
いました
あたしに泣いた、あなたがいました
あたしを殺した、あなたがいました
あなたを愛した、あたしがいました
あなたに笑った、あたしがいました
あなたに泣いた、あたしがいました
あなたを殺した、あたしがいました
あの時 あたしが のこしていった思いはいまでも
どんなに悲しい言葉であっても
つたなくも息衝いております
あたたかな、あなたの温もりがあったのです
暗闇の恐怖におびえるあたしを
ただ ただ 抱きしめてくれたあなたの言葉は
優しい黄色のフリージア
あの日、あの時 あなたとあたしが
ふたりでのこした、恋のきせきはいまでも
いまにおいてモルヒネみたいな夢物語であったとしても
風化することなく
うつくしく
つたなく
息衝いております
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