そいつのアパート/チャオ
ために薬が必要だったらしい。
でも、本当かどうかなんて誰にもわからない。
少ないながらそいつは全部信じている。
そういえば、昔、隣の隣に住んでいたやつは、
そいつの印鑑をよく借りていた。すごく珍しい模様が施されていて、すごくきれいだった。
いつの間にかそいつはいなくなって、気がつけば印鑑もなくなっていた。
その印鑑はそいつのお気に入りの印鑑で、そいつはなくなったとき、大声で泣いた
もう、勘弁してくれと
そいつはよく言った。だけど、結局は誰も勘弁してくれはしなかった。
だから、今はこれだけでもいいと、極力思うように努力している。
そいつはそのために、四部屋を毎日行き来している
戻る 編 削 Point(1)