Transit Time/ホロウ・シカエルボク
 
に吠える犬になるくらいなら、ぼくは好奇心によって間抜けな死を迎える猫で居たいな、と思うよね、そう思わない?巨大なトラックがたまに通り過ぎていく、巨大なトラックが喚起させるサイズ感の乱れは、「ポンヌフの恋人」を思い出させる、酔っぱらって、小人になって、橋の上でゲタゲタ笑っている、あのシーン…工業地帯を過ぎると小さな港に着いた、大きめの船着き場、と言ってもいいくらいの細やかな港だ、小さなフェリーですら苦しそうだ、昔は、このあたりにも漁で生計を立てている家がたくさんあったのかもしれない、小さなエンジンのついたボートがいくつか並んでいたが、稼働してると思えるようなものはひとつもなかった、港の奥には年季の入
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