銃弾はひとつだけでいい/ホロウ・シカエルボク
喋る老婆は時折咽込みながら同じ言葉を繰り返す、袋小路の百鬼夜行、百足の背のようにのたうちながら―精魂尽きた鼠達は屋根裏で質感を失くし隙間風に消えていく、呼吸の中にきっと彼らの一生が混入していただろう、誰かの死を屠らなければ俺達は生きてはいられない、セルロイドで出来てるみたいな顔をするのはよすんだな、まったく見ちゃいられない…バス停に佇む幽霊の話を聞いたかい、なんでも若い女らしいよ、数日前にテレビ番組でそんなことを言っていた、突然、雨の音が聞こえてくる、そんな毎日が続いている、昨日隣家の屋根でこと切れた雀はいまだ死後硬直の中に居る、逝ってしまった時のままの目、和紙細工みたいに見える正真正銘の死、ピッ
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