たひらかな漏刻/あらい
 
自動手巻き式から結って 皆と覗く潤色の天球
私を生み出して織るとその、だふらくの貯水率
暈に罹って 庇の神殿へ 
 その先の運河が せせらいで 追った
 つたない葦を運ばせる、歳月がゆく手には
 その渡り廊下の背景には、ひらすら待つ
先刻の余光がおもてがわに
 どうやらその煌きは 
 成虫と呼ばれるに相応しい手の 
 ひらほどの蝶蝶が 破れた翅を繕いつつ
 金切り声を煎じながら 
 躰を預けていたようなのだ
  と或る人は、
  未来などどこへも鬱らせず、
  迷いなく殉じているのだ
微睡みを結んだ灯塔は はるかに淡て者で
騒ぎ立てるばかりの虚飾の明り 内から覗けば
風に運ばれる、花の便りも、うわさばなしも
撥条から爆ぜた楽符のかたまりが鈴なりに  
ときを超えるのだと、するとしても 夢幻泡影
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