シナリオ「恩寵のバーガンディ」?(新人シナリオコンクール・三次選考通過作品)/平瀬たかのり
 

寿道「そしたら、今日はこれで」
陽鞠「やっぱり、春野君の言うたこと正解や
 った」
寿道「え、なにが?」
陽鞠「二月になっても事件の記事たくさん載
 ってるわ。なんであんな酷い事件がおきた
 んか、記者の人が一生懸命追っかけてるの、
 よう分かるわ」
寿道「リアル感の圧やな、昭和の」
陽鞠「うん、ほんまに」
寿道「それに負けんようにせんとな」
陽鞠「うん。春野君はちっさい時からここ
 に通ってたんや」
寿道「うん、ここで本ばっかり読んでた――
 って今でもやけど。そしたら三日後」
陽鞠「うん」
   去っていく寿道。その背中を見送って
   いる陽鞠。

[次のページ]
戻る   Point(2)