リタルダント/サカナ
 

舌先で摘みだす


風が
背骨に触れる


身を起こすと、
分かる




(グライド)




斜体
滑空する
舞い上がって
沈黙する木蓮に
運ばれていく
浮かんでいるものたち
それから、
私の乗り物
カーヴ/スコープ
近づいてゆく
一滴の落ちる瞬間へ
(小さなものから
春は
ふり絞るように
音を生み落として、)





ここがいちばんきれい
ここがいちばん楽しい





廻輪の中で幸せだった
花の匂いがしていた
四方八方が軸策で
私、
春の端っこを握り締めて
息をしていた
目を開いていた
音が聞こえて
手のひらが温かかった



とても、
温かかった




(それだけで
心臓の
内側まで
きれいよ)





あの指が笑ってる
いつまでも笑ってる






春、なのね
幸せ、なのね


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