海/暗合
いつもと雰囲気が違った。嫌な予感がした。今日の天気みたいな予感だった。
先生が言うに、あなたはもう二度と学校へ来ないのだそうだ。あなたは死んだ。海に溺れて。
俺の夢でなく、本当の海だ。夏休みの間にあなたは海へ出かけて、それから海に流された。
俺は海ではないし、海だったこともない。あなたは海に溶けて消えたが俺は俺のままだ。俺はあなたになりたかったが、あなたになれることは永遠にない。
あなたが最期に言ったのか俺は知れない。きっと口の中に水が入って何も言えなかったのだろう。ただ残るのはサーサーという波の音だけだ。
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