自由形のパレード/ホロウ・シカエルボク
 
まった、ひとつ所で眺める誰かの移動はただの不在だ、聞こえなくなった賑やかなパレードはそんなことを教えてくれた、だけどそうさ―そいつが居なくなってしまうことが、みんな本当は堪らなく好きなんだ、スニーカーの爪先で地面を少し掘ると、薄汚れた紙吹雪が浮浪者のように眠っていた、みんなどこかへ行ってしまって、置手紙のような紙屑だけがずっとそこに在ったんだ、あの場所はどこへ行ってしまった、いまでもきっとそこに在るはずだった、でもそいつはいつのまにか新しい街の中で隠れてしまった、もう二度と見つからないと知った時、俺は自分がそれまでとは違う人間になったみたいなそんな気がした、パレードの中を、パレードの行列の中を、冗
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