すべてはじめから/ただのみきや
 
見る
降る羽根黒く血は青く


ひとつの死に群れる虫
静けさも目に騒がしく
花火のようなことばなら
照らす頬も巡りが良い
だが風が窓を鳴らす夜
出口を求める死者の声は

鳥籠の中に自由は住まい
見つめる者が籠に囚われた
軟膏と香油の中で溺れている
癒すべきは恥部と肥やし続けて
置き去りにしたあの影は
きみの創作でわたしじゃない


眠りは老婆の姿で訪れて
わたしの夢を吸い若返る
水の周りをさまよって
出口を感じて持ち出せない
会話を誰かとかわしている
翼のない背中を咬んで



             《2022年12月17日》









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