ガラスのはね/はるな
 

遠くまで
悲しみを はこぶのに
蝶をつかった

少しずつ
少しずつ
悲しみをちぎっては
蝶たちの背にのせた
けれども
かなしみは もう
重すぎて
蝶はみな とべなくなった

それから ひとは
ガラスの蝶を つくった
うすく 頑丈な翅は 美しく
透かしもようが 光に溶けるから
みんな そこにいて
悲しみを かなしんだ


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