詩の日めくり 二〇二二年十月一日─三十一日/田中宏輔
通う帰り道で、ふと墓が目についた。子どもの墓だった。彼女はその墓から頭蓋骨を拾い上げ、家に持ち帰って、人形の首に差し込んだ。よい母に恵まれなかった主人公は、頭蓋骨に言い聞かせた。わたしはよい母になるわよと。
6作目は、リック・ホータラの「ノックの音」千年紀の12月、ひとびとは街中で暴れに暴れ、警察も機能しなくなっていた。主人公の若者は、ひとり部屋に閉じこもっていた。そこへノックの音が。しだいに強まるノックの音。主人公の青年は気がおかしくなって、さいごは、自分からドアを叩きだしていた。
7作目は、ピーター・シュナイダーの「紛う方なき愚行」殺人の場面のあと、目が覚めたらふだんの生活だっ
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