ありふれた日常と見たことのない世界/千月 話子
ぴとん
つ・・・ と止まる
ぴたん ぴたん ぴたん
つ・・・ と止まる
今夜の寝床は少し 冷たい。
浅い眠りが
快晴の空の下で
乾燥した風と共に
白いシャツを揺らす
そんな夢を 見ている
深い眠りが
白い壁で覆われた建物の中
長い 長い 虹が
空と地を縦に渡る
そんな夢を 見ていた
ああ、、、
高層住宅が
夜の闇の中で七色に輝いている
7階の住人の手のひらを通して
鼻先を スズランの香りが
通り過ぎても
誰も気付かないなんて
今日の疲れが浄化されて
また明日の洗濯槽で
渦を巻く朝まで
住人よ
深深と眠りに浸ろうか・・・。
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