完全な闇が取り払われるとき/ホロウ・シカエルボク
しらの芸術的成功でもない、政治家とか警察官とか、社会的な力を得ることでも無い、要するにわたしは、自分自身のままで居たくてもがいていただけだったのだ、それに気づいたのは人生を半分程度経過したあとだった、もちろん、おそらく半分程度ということだけど…目的が無くなったことは幸運だった、それからはただ懸命にわたしで居れば良かったから―乱れがちだった心は驚くほど平穏になった、窓の外の藪を徹底的にチェインソーで切り開いたらとても眺めが良くなった、例えるならそんな感じだった、それからわたしは無駄なものを切り捨てるのが格段に上手くなった、持ち物を捨てるということではない、ある種の人間とか、ある種の現象…社会と呼ばれ
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