永いひとつの息の向こうから/ただのみきや
 
なる
また丸薬のように凝縮された時間の糞を踏んだのだ
心象の裂け目から裏返るように刷新されてゆく
寡黙なひと時をあえて言葉にするのならそういうことだ


後ろ向きに歩く顔を隠したこどもたちから遠ざかり
学校の始業ベルを詩行ベルと変換ミスをしたころ
幽霊のような蚊柱が立っているのが見えて来た
路の脇の開墾碑の前に置かれてあったきみの書置きからだ
卵白を塗ったノートの切れ端は少し焦げて空腹を呼び覚ます
ことばは知恵の輪のように絡まっている
わたしは農夫の祈りを貪って朝に斜陽が太るのを感じていた
そのために放置されているとしか思えないバットで地蔵の頭をかっ飛す
心配事と言えば
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