火星人は見た「そんな雰囲気」の嵐を/ただのみきや
季節は詩作と飲酒を奨励する
ナナカマドの実を髪に飾って
わたしの夢と現実を行き来する
顔のない女のようなものが
縫い付けたり解いたりして
季節の匂いを囁いている
雨上がりのしどけない詩のように
断片的情報でモザイク画を作成し
そんな作品を現実と強弁して言い争う
噛み合うはずもないので咬みつき合う
石木相手に酒を飲むほうがよほどいい
足のないものの膝枕で
あの枝先のそよぎでも眺めながら
陽だまりの蝶にはただかしことだけ
なんど捲っても合わせられない
神経衰弱のように
痛いくらい届かないものを追いかけて
どこをどうさまよってか
またもこの場所にいる
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