愛そうと試みている/モマリサ公
 
スピードには無が宿った

加速していく永遠の退屈を
きりとって超える「こころたち」
無重力そのもの
その風景はとても平坦で
終わりの無い地平線だった

顔の無い自分を愛そうと試みる
蒸発しては降り注ぐをくりかえす水分が
体のうちがわで行き場を
見失ってたぷたぷとしている

鼓膜が揺れている間
その意味について考えている
残酷な風景が横切っていく
地平線に沈んでいくあらゆる熱と光と闇
顔の無い自分がYouTubeにアップロードされる前に削除されていく
無重力の「こころたち」が画面いっぱいに映し出されて

空からは
ついに
雨が降り出してしまう


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