2022:a space odessey/本田憲嵩
 
ことについては、とくにこれといった意味や暗示を見出すことができなかったが、彼はそれについてもなにか特別な深い意味があるのではないかと思索し、それ以降も幾度となく勘ぐった。閉じられた角膜にそっと触れるようにその墓標に指さきで触れてみようとする。するとトラックのクラクションが一瞬けたたましく鳴りひびいた――
今日とりあえずぼくは樹々の生い茂る山林の木星へと向かう。ぼくの中の空間と細胞に「現実」という星がいくつも爆発的に流れ込んできて、不安と混乱と混沌のように渦巻き、ようやくそれぞれの星星が所定の位置に配置されたので、そのひとつひとつの星をぼくは順繰りに巡って行かねばならない。着慣れないツナギという宇宙服を着こんで、ヘルメットを片手に。
モノリスは今しがた昇ったばかりの輝かしい朝日を一身に浴びて、もうすでに目醒めはじめていた。


戻る   Point(2)