ない夏/山犬切
 
を紡ぐ
生きることで汗ばんだ青いポロシャツ 26歳の夏休み

夏が通り過ぎる 真っ青なハワイのように
夏が通り過ぎる 空を横切るジャンボジェットが道におとす翳りのように

今日は雨だ 雨が静かに降っている
すずらんが咲いている道沿いを長い事歩いて
駅に着くと俺は九月傘の下で 大粒の雨に牡蠣のように打たれた
虚死 虚私 去私
育つということ 劣位にあるということ 言葉に乗って流れるということ その自由と必然への敬虔さ
理想機械の乳房から出る黒い母乳を飲み、日々痩せ衰えて壊れるのみ。
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