2019年10月 東京都大田区 台風19号/松岡宮
 
るとは思わなかった。
生活していてわずかな標高差が生死を分けるなんて思いもよらなかったし、地盤の良し悪し、ポンプの役割、地下水や上下水道の流れなんて、想像したことがなかった。
水害の恐怖がこの身に沁み込んだ。
この世に水はある。
この世に空気があり、そして風がある。
人体に血管があり血圧があるように、国土も生き物であり天候に影響を受ける水脈や風の通り道がある。
きっと、東京都大田区と神奈川県川崎市はひとつの地である。
そのひとつの地が、川に削られ高低差を生じ、ときに水に浸かることがある、おなじ川から、おなじふうに、わたしたちは、注がれる、涵養される、栄養される。
これからも川のようすを見にゆこう。

(松岡宮「東京フリマ日記」第5章「台風」より)
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