空に溶くシアン/あらい
 
 隅々まで悠(とおい)シャーレのわたつみを游ぐ眼球の記憶へ
  多分私たちは今よりもうすこし先を上手に歩くべきだったの
 伸びた爪も取れかかったパーマも色褪せた素肌もまた
   いまのわたしたちよりすこし大人びて見えるでしょうから
<ポラリスは知っていたのでしょう> 
  どこか出かけるような心地はワクワクしながら
  なにかに立ち向う気分でこわごわとそこに入ればよかった
 「ねえ聞いているの!」
心臓を投げ捨て
躰を空っぽにして
心など亡くしてしまえば、
すべて終わったようで
始まったばかりの
すべての
ほんのすこしまえに走り去るキミよ
 /(遺された)
 /ワタシではないアナタよ
  歪な迷路とは嘲笑から餞別まで
  様々なシーンが
  まざまざと写し撮られる
  波打ち際を漂う
  ガラス瓶の内側で
  誰かを
  身に留める
  ささやかな幼生たちの
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