詩の日めくり 二〇二〇年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
 16作目は、「勝利の瞬間」スペインとの戦争で武勲をたてた青年だが、思っていた女性には他の男と結婚されてたという話。野望がどこではじまり、どこで終わるかわからないというさいごのところに出てくる言葉通りの物語。

 17作目は、「善魔女のパン」好意を持っていた、古いパンをいつも買っていく男を貧しい画家だと思い込んだ女主人が、ある日、古いパンにバターを入れておいてあげたのだが、男は画家ではなくて、古いパンで製図の下絵を消してた建築製図家だったので、せっかく書いた製図をダメにしたという話。

 18作目は、「リューマチ強盗」リューマチの強盗が入った家の主人もリューマチだった。そこでリューマチ話が
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