彷徨いの中にしか人生はないのだと思うことがある。/ホロウ・シカエルボク
それは、床の上でまだ光だった記憶に震えていた、遠くの方で雷が鳴っている、あの音が聞こえるたびに何かを失くしたような気になるのは、その理由がすでに果てしもない過去の中で微かに息をしているせいかもしれない、廃屋の窓を覗き込んだらその中に一番見事な自分の似顔絵があった、気の早い六月のにおい、雪崩の中のような世界、小さな鳥が地平線を真似るように前方を横切る、乗り心地の悪い、ベルトコンベアーの上の夏、ガダルカナル解放戦線の記録写真のスライドムービー、どこかの博物館の、隅に追いやられた展示室での記憶、これ見よがしな主題のもとに構成されていたが、横たわる死体たちは何も語ろうとはしていなかった、それは致し方ないこ
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