あの声で蜥蜴食らうか時鳥/涙(ルイ)
 
られない
確かに腹は大事だけど
背中だって背骨とか脊椎とかあるし
決してぞんざいに扱っていい代物ではない気がするのは
私だけかしら


あいつの面の皮を剥いでやりたい
化けの皮を暴いて 本性を曝け出してやりたい
って面の皮一枚剥いだところで
一体何が暴けるというのだろう


他人は 人の重箱の隅をつっつくのが
実に好きだ
とくにその人が良い人だったりすると
裏になにかあるに違いないと
探りたくて仕方がない
何を見つければ満足するのかしら
何があれば満足なのかしら
そうしているうちに 自分の重箱も
誰かにそっとつつかれているとも知らずに


暗がりに厳つい顔をした鬼がいるのではないかと
常に心に疑いを持ちながら生きていくのは
もう疲れました
他人の意見に流されて ただ漠然と生きるのも嫌になりました
なにも疑いたくないけど なにも信じたくもないです
どうせみんないなくなってしまうのならば
私はもう 何も期待いたしません


満身創痍
それでも 生きてさえ
生きてさえいれば
傷だらけだってかまうもんか




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