錯綜/あらい
 
フロアライトに照らされた祖父の鍵束は
まるで、ゆりかごみたいな影絵を思い起こさせ、

熱帯夜を引き止める、ぱたり
閉じられた胸とベーゼ、
暗闇に見える涙が乱反射して三白眼と

手を翳す
頬骨と死と

水槽の熱帯魚をエントランスに放したままで、
薄暗いまたたきを溢していく

養父の持つちいさなランプ
水面を移した明りは残像をつくりだす

いばらのはな

未来予想図を切り売りした乳母は宮殿の真上に
三日月の喇叭を鳴らす

幻術に炙り出した延長線と童心の肌触り
神(コウ)の鳥の半身

逆光の標本室、だったの。

ぱっと弾けてしまった情事、そのあとの残滓の亀裂
ぽろりと漏れた稲光に羅列する、洒落たブルーに見えた鷹か
何かは、咥えられている
それでそれで男女ふたり筏に乗り込んで浮力を失ったから
間欠泉からもうすぐ着床して

はなびらとはらはらと、情感が散る
戻る   Point(0)