詩の日めくり 二〇二〇年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
として、折りたたんでいた袖を下ろしたら、なんとそこから鍵が出てきたのであった。胸のポケットに入れていた鍵が、チョークを落としたときに上半身をかがめたときに折りたたんだ袖口に滑り込んだように推測された。予備校の使った教室や職員室をいくら探しても見つからなかったわけだ。折りたたんだ袖口に入っているなんて思いもしなかったのである。うかつだったが、仕方がなかった。支払った5000円が悔やむに悔やみ切れなかった。


二〇二〇年二月五日 「荒木時彦くん」


 荒木時彦くんから、詩集『一日の可能性』を送ってもらった。ミニマルな短篇小説を読んだみたいな感じがした。


二〇二〇年二月六日 「
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