不憫な子 そう呼ばれたかった大人たち/ただのみきや
 
鳥たちよ

ヒヨドリが鳴いた
喉を裂くような声で
天のどこかを引っ掻いた
それでも皺ひとつ寄らず
風の布は青くたゆたい
樹々の新芽を愛撫するが
ささやき返す葉はまだない

公園の水たまり
スズメとヒワが入り混じる
おしゃべりはつきないようで
足下の空をゆらしながら
小さな舌を潤している
いま嘴と嘴が触れた
相手を自分とは気づいていない

冬は去ったばかり
装う間もなく春はまだ殺風景
風は少しぬるくなった
水はまだそうでもない
だが鳥たちは満喫している
生垣を出たり入ったり
歌うようなおしゃべりで

きみが歌手なら語るように歌え
きみが詩人
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