老人と海とロマンシネ/ゼッケン
 
らず窓を開けた
あーあ、飛んで行っちゃった
おれは夕日の沈む水平線をつかのま思い浮かべてから水浸しになった部屋を見回した
だから、釣りは嫌いだと思った
片付けよう、ママに叱られるぞ
はーい、釣り、また行っていい?
いいよ、タオル持ってきて

小さな事実を積み重ねて、大きな嘘を信じさせる
科学、プロパガンダ、陰謀論

そうしてまた週末になり、息子は帰ってこなかった
友だちとその父親たちは息子と釣りに行ったことはないと言った
あんた、誰だよ?
おれは息子がいなければパパではない
そんな男の子は知らない、全員が首を横に振る
おれはもはやパパではないようだった、ただのパパの
[次のページ]
戻る   Point(3)