すべてが所詮は呪縛という名の遊戯であるのなら/ホロウ・シカエルボク
 

夕食のときに誤って
傷つけた口の中が傷む
悪態が脳裏で曲芸飛行を繰り広げる夜
ラタンの椅子の上で一対の飛蝗が
遺伝子を残そうと試みている

呪縛から解き放たれた
そんなものになりたかった
生命の呪縛、種族の呪縛
宿命の呪縛、自己認識の呪縛
そんなものに抗いながら並べ立てる言葉のすべてが
また、呪縛であることに気付きもせずに

苛立ち紛れにフォークの先端で
口腔内の傷口をわざと刺した
喉を満たす血の味
わけもなく思い出すイギーポップ

地底に隠れたナマズが
命を振り切れるまであたりを揺らし続けるような
欲望とフラストレーション
存在であることを笑う瞬間こ
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