山林にて '18/05/山人
 

いやがらせする
ブユは細かく舞っている
不快の塊だ
エゾハルゼミは狂っているから
疲れを知らない

みな、それぞれに
生きていることにすら気づかない
死を気にするでもなく
これからの事だけのために
螺子を巻かれている

前方の同僚の禿げ頭がゆらりと動き
ヘルメットが被られると
私たちの一服が終わる

風はまた止み
爆音が身を包む
私たちもまた虫のように
我を忘れる
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