言葉の煽情的ボディライン/ただのみきや
 
カラスのギャロップ

北国の春は犬連れでやって来る
ぬかるんだ地の上を
着物の裾を汚しながら遅れてやって来る
太陽は雌鶏
ぬかるみが半分乾いたころ目覚ましが鳴って
あとは忙しく吹いたり咲いたり孵ったり
山々は眠たげでどこか妙に色っぽく
街では危なっかしい子どもと大人が目につく
本当のところ春なんて
いつもポケットに持ち歩いている訳だ
もういくつ春の詩を書いたことか
きみは憶えているか






響く鐘の音に誘われて
互いの人の皮を剥ぐ
わたしの心臓きみは
失語故の薔薇を装った詐欺師
自分を消してしまった手品師
わたしは性器きみの
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