美化推進委員会/ただのみきや
 
孤独という架空の質感

脳の北半球を俯瞰して人魚を数えた
四を三つに切って酒瓶を左に折れる
鴎と散った手紙の風が結わえ損なったもの
互いの時間の屈折率
きみの脚が鎌首をもたげている

さわるように知り
拗ねるように急かす
濃い罌粟(けし)を飾った黒髪に
瞳で触れて秘密を孕む
地平の果ての白濁
諦念は鳥のように

罪は雑事に明け暮れて
美は呼吸を乱す
静寂から拾い上げた薄紅の貝
沈黙は爆ぜ
色彩は嘔吐する

薔薇の蕾のように
渦巻く銀河のように
時間の帯を解いて
ゆらめく仮象に彩られた
存在の
散漫なつかみどころのない
あなたの密度に
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