振り上げた拳で自らを力いっぱい殴る人のために/ただのみきや
 
も燃える空の下
たなびくように美しくも定まらない幽霊の踊りに
こころを強く唇で吸われたかのよう
この墓石ですら血が脈打ち震え
行き場のない情念に言葉が渦巻いている



 *

絶えず矛盾した欲望を抱きしめることで
あなたの振舞いは幻影の層をまとう
解析できない信号を
暗転した肌が持つ嗅覚で感じながら
浮かび上る仕草は仮象
はち切れんばかりの両生類の卵たち
無数の眼差しが一斉に沈黙を太らせた
わたしたちは跪拝する瞑ったまま
舌と唇で探り計測するそのあやまちに
窓からあふれ出した酔っ払いの巡礼たちは
自由警察犬たちの執拗な追及によって
冷たい遺物の迷路の果て
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