未だ、その血飛沫は。/ホロウ・シカエルボク
する瞬間に過ぎない、だからこそ時間が必要になった、ひとつの基準が設けられるのは、それを軸にして生きるためではない、そこから離れるための目安として設けられるのだ、あらゆるものを鵜呑みにしていては、瞬間に置いてきぼりを食らうだけさ、ひとつの事柄を証明するためには、百万もの真実が必要になるんだ、すべての噛み合わせが試されて、一番具合のいいものが選ばれる、その繰り返しが人間を本当の場所へ進ませるのさ、自分自身を基準にしてしまえば、もうそこからどんな変化も訪れることはない―生命が語る術を持っていない時代からずっと続いてきた言葉がある、俺はそれを知ろうとしている、そんなものは詩じゃないっていうやつもいる、それならそれでいいのさ、俺にとって大事なことはそんなことじゃない、俺はきちがいの回転数で日常を消化する、あらゆる言葉がばら撒かれて足元が覚束なくなったら、すべてが腐り落ちるのを待ってまた新しいものを吐き散らかすだけさ。
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