詩の日めくり 二〇一九年七月一日─三十一日/田中宏輔
 
も、ぼくの魂が言葉に導かれた作品であると思う。 
という言葉を書いたのだが 
塾のアルバイトが終わって、帰ってくる途中の道で、 
歩きながら、ふと考えていた。 
まさしくそうじゃないかと。 
才能とは、言葉の魅力を引き出す能力のことを言ってるのであって 
個人の才能などというものは、ほんとに矮小なもので 
偉大なのは、ただ言葉だけなのだと。 
これは、わざとレトリカルに表現した部分もあって 
誇張法的なものの言い方だが、言えてると思う。 
どれほど偉大な作家も 
ただ一つの言葉よりも文学に貢献した者はいないと思う。 
シェイクスピアでさえ 
ゲーテでさえ 
いや、わ
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