重度のシンコペーション/ホロウ・シカエルボク
 
きものではない、それはさらに押し広げられていくべきものなのだ、己の中に道を持たない人間はそのことを認識出来ない、シンガーは最後のリフレインを残して突然歌うことを止めてしまった、彼は歌として生きることを諦めてしまったのだ、時代は変わらない、そうさ、諦めたほうが賢いのかもしれない、あとは、それが誇れることかどうかって問題だ、突き詰めてみるべき問題ですらない…分るよね?ある日、たったひとつの動作の合間に、十年の時が流れたような気がした、そんなことは初めてのことだった、あの時、間違いなく自分の中を、それに近いなにかが流れていったのだ、その実態が理解出来るのはまだ先のことだろう、いまはまだきっと、どれだけ頑
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