父とバレンタイン/しょだまさし
言わなかった。父らしいなと呆れた私はその後の披露宴の席で母よりも大きく泣く、初めて見る父の涙の意味を知った。何度も訪れた一家離散の危機を乗り越えられたのもその父の涙を見て宿った覚悟のお陰なのだ。そして今、病室で息子家族のバレンタインのプレゼントに隠れる様に『貴方の元に生まれ育ち幸せです』と書いたメッセージカードをこっそり置いた。「ついでに貴方(夫)、(息子の)まさし、はい!貴方たちにもこれ、バレンタイ〜ン♪」「母さんありがと…ってカントリーマァム1枚か〜い(笑)」
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