詩の日めくり 二〇一九年二月一日─三十一日/田中宏輔
 
者もいた
口に放り込んでいる者や
カバンのなかの薬入れの袋を開けている者もいた
「さあ、はやく薬を飲んで、授業を受ける気分になりましょう」
電車に乗る前でさえ、薬を飲まなければ不安で
電車に乗ることもできない時代なのだ
さまざまな状況に合わせた薬があって
それさえ服用してれば、みんな安心して生きていける
とても便利な時代なのだ


二〇一九年二月二十八日 「この人間という場所」


胸の奥で
とうに死んだ虫たちが啼きつづける
この人間という場所

傘をさしても
いつでもいつだって濡れてしまう
この人間という場所

われとわれが争い、勝
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