Through the Past, Darkly/ホロウ・シカエルボク
い、やつは直接俺の脳味噌に話しかけているのさ、なあ、なあ、いい天気だな、と、調子づいて悪魔はまくしたてる、俺としては見せかけの頭をぶち割ったところでスッキリしているので、しばらくは好きに喋らせてやる、どうせやつに出来るのはぶつくさ言うことだけなのだ、フライパンを温めてココナッツの油をひき、床に落ちた悪魔の頭部を拾って炒め、冷飯と合わせてピラフにした、味は特別上手くも不味くもなかった、俺がそうすると悪魔は決まって一言も喋らなくなる、それだけはやつの趣味じゃないらしい、悪魔ってなんでもありなのかと思えば意外とそうでもない、妙な品の良さがあり、俺は正直な話、やつのそういうところは少し気に入っている、品の
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