詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日/田中宏輔
 



 水根たみさんから、詩集『幻影の時刻』を送っていただいた。10行にも満たない短詩がいくつも載っている。長くても、14、5行。いさぎよい感じ。ここまで言葉を短くできるのかという思いで、詩行を読んだ。


二〇一九年一月十一日 「卵」


卵を割ると
つるりんと
中身が
器のなかに落ちた
パパが
胎児のように
丸まって眠っていた
ぼくは
お箸を使って
くるくるかき回した
パパはくるくる回った


二〇一九年一月十二日 「卵」


卵を割ると
つるりんと 中身が
器のなかに落ちた
ぼくはちょっとくらくらした

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