詩の日めくり 二〇一九年一月一日─三十一日/田中宏輔
荘子は、美しい言葉は、燃え盛る炎のようだと書いていた。
二〇一九年一月二十九日 「ジャック・ケルアック」
未読だったケルアックの本を読む。「ディテールこそが命なのだから。」(ケルアック『地下街の人びと』2、真崎義博訳、新潮文庫100ページうしろから4行目)この言葉以外、目をひくところは、どこにもなかった。とくにこころ動かされる場面も描写もなく、ただただだらしない文体がつづいていく小説だと思った。
二〇一九年一月三十日 「荒木時彦くん」
荒木時彦くんから、詩集『crack』を送っていただいた。余白をぞんぶんに使いこなした、といった印象の詩集だ。
二〇一九年一月三十一日 「西原真奈美さん」
西原真奈美さんから、詩集『朔のすみか』を送っていただいた。朗読会でお聞きした「箱買い」という言葉に再度、出くわして、ぼくにはなかった経験をなさっているのだなあと、あらためて思った。「次の重さ」も重たい気がして、ひさかたぶりに重たい詩を読んだ気がした。
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